食品偽装・トレーサビリティ

ブロックチェーンのトレーサビリティへの導入事例と仕組み

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2017年から2018年にかけての暗号通貨(仮想通貨)の価格の過熱と冷却に伴い、一般人からのブロックチェーンへの期待や興味は、暗号通貨への興味と共に薄れつつあるように見えます。

しかしながら、世界中の企業はブロックチェーンのビジネスへの応用を模索している最中です。まさにこれから具体的な導入事例が徐々に公になってくるでしょう。

ブロックチェーンに対する起業家たちの意識については、世界最大の会計事務所であるDeloitte(デロイト)が2018年に行ったこちらのサーベイ(調査)に興味深いデータが多く載っています。

この記事ではブロックチェーンのトレーサビリティへの応用事例を、既存のシステムとの違いや仕組み、ブロックチェーンを導入するメリットなどを交えて詳しく説明していきます。

そもそもトレーサビリティって何?という方はこちら

トレーサビリティとは?食品の事例で見るメリット・デメリット

ブロックチェーン導入の状況

ブロックチェーンを既にビジネスに導入することを決定した企業がいくつも存在する一方で、ブロックチェーンが自分たちのビジネスにどういう意味を持つのかを測りかねている企業も多くあります。

ブロックチェーンに対する企業の見方を知るには、2018年3月~4月に行われた先述のDeloitteの調査が参考になります。

この調査は、世界7カ国(カナダ、中国、フランス、ドイツ、メキシコ、アメリカ、イギリス)の年間収益5億ドル以上の企業のシニア・エグゼクティブ1053名を対象にして行われています。回答者はブロックチェーンに関して幅広い知識を持ち、自らの会社が持つブロックチェーンに対する投資計画を把握していて、意見を述べる事が可能な人たちです(調査PDFのp4に記載)。

この調査によると、「自分の企業が何かしらのブロックチェーンの運用を開始した」と答えたのは34%です。これを意外と多いと思う方もいるかもしれません。しかし先述の通り回答者は既にブロックチェーンに関する幅広い知識を持っていること、また「ブロックチェーン技術の使用に有力なビジネスケースを見出している」と回答したのが74%と大半に及んでいる事を考えると、調査の時点ではまだあまり多くなかったと言えるかもしれません。

興味深いのは、回答者の41%が翌年内にブロックチェーンの稼働に乗り出すだろうと答えていることです。今はもう2019年ですから、ブロックチェーンの導入に乗り出している企業は増えているでしょう。

ただし、調査の時点では回答者の21%、アメリカだけに絞ると30%が、いまだにブロックチェーンの導入を正当化する有力な妥当性が欠けていると述べてもいます

Deloitteのレポートではこれを受けて、彼らが認識するべき重要なポイントとして、ブロックチェーンの導入は単なる概念実証(PoC)を超えて、ビジネスモデルの変革にある、と指摘しています。

回答者が答えた問題点は、現時点でブロックチェーンの有望性を確信させてくれるユースケースがほとんど無いことです。しかしながらDeloitteのレポートは、今の時点でブロックチェーンに対して組織が犯す唯一の間違いは、何の行動も起こさないことだと指摘しています。

ブロックチェーンの導入によるROI(投資利益率)が不明瞭で二の足を踏んでいるのであれば、現在市場に存在するブロックチェーンソリューションの中で自分の企業のビジネスモデルに合致するものを見つけ、調査しておくべきでしょう。

ブロックチェーンと既存のシステムの違い

ブロックチェーンとトレーサビリティの関係について述べる前に、まずはブロックチェーンが今までのシステムに比べてどのように優れているのかに触れておきます。

ブロックチェーンはデータを記録するための台帳です。暗号学など難しい事を取っ払って考えれば、少し洗練されたデータベースシステムと言っても良いかもしれません。

一言でブロックチェーンと言っても、それには性質の異なる復数の種類があります。考え方によってさらに細かく分類できますが、大きくわければプライベートブロックチェーンパブリックブロックチェーンになります。

分散型のパブリックブロックチェーンには仮想通貨が必要不可欠

ビットコインやイーサリアムに採用されているのはパブリックブロックチェーンであり、今までの送金データ(台帳)に誰でもアクセス可能です。これはデータの透明性、信頼性に関して非常に重要です。世界中に分散する不特定多数の人たちがたった1つの台帳を保存、管理していて、データの改ざんや勝手な変更が実質的に不可能だからです。

パブリックブロックチェーンにはいわゆる暗号通貨(仮想通貨)が不可欠であり、このようなデータの保存・管理・承認といった仕事に対し暗号通貨で報酬を与えることによって、分散型の自律システムが実現出来るからです。

一方でパブリックブロックチェーンはプライバシーの問題を抱えています。そのため多くの企業は、自社の重要なデータを公開したくない、問題が起きた時にデータの変更が出来ない性質に不安を感じるといった理由、またはより優れたソリューションをただ単に知らないといった様々な理由で、プライベートブロックチェーンを望んでいる場合があります。

プライベートブロックチェーンとはその名の通り、データ(台帳)を一部の企業、組織のみが記録、保管するプライベートなデータベースです。トレーサビリティのためのプライベート・ブロックチェーンと言えば、IBMのFood Trustが代表的です。

このプライベートブロックチェーンでは関連企業、組織のみがデータを持つことになるため、既存のシステムの延長線上にあるソリューションであると言えるでしょう。

ただしプライベートブロックチェーンでは都合が悪いことが起きた時のデータの変更・改ざんが可能であるため、パブリックブロックチェーンの性質を持つソリューションとは違い、政府など規制当局や消費者に対して、データの透明性、信頼性をアピールすることは出来ません。

ブロックチェーンをトレーサビリティに導入する理由

企業がブロックチェーンをトレーサビリティに導入する理由は、大きく分けて2つです。

1つはサプライチェーン管理(SCM)を効率化し、コストと時間を削減すること。これは既にWalmart(ウォルマート)のPoC(概念実証)が証明しましたが、ブロックチェーンを使えば通常は約6日かかっていたあるマンゴーの産地特定が、たったの2秒ほどに短縮されたとの結果が出ています。リコールが起きた時の問題地点の把握や迅速な対応、保険の適用など、サプライチェーン管理に革命を起こすという意味で商品のトレーサビリティにブロックチェーンを使用するというのは非常に理にかなっているでしょう。

もう1つは消費者に対して商品の品質を証明し、ブランドをアピールすることです。こちらは前者と違って、データの改ざんが可能なプライベートブロックチェーン(IBMのような)では不可能lです。これにはパブリックブロックチェーンが必要であり、データの信頼性が不可欠です。

今後トレーサビリティの規制はますます強化されていきます。もうすぐEUでは、全ての医薬品1つ1つがサプライチェーン上で識別可能にならなくてはいけなくなります。偽造ドラッグや産地偽装、品質偽装など様々な不正、詐欺があらゆる産業で起こっていますが、それを無くすために確実なデータが求められる時代が迫っています。

他の企業がパブリックブロックチェーンによる品質証明を消費者に向けて提供し始めれば、競争優位性を保つために他の企業も導入せざるを得なくなるかもしれません。また今後の新たな規制によってもそうなるかもしれません。本当に消費者のことを考えている企業はプライベートではなくパブリックブロックチェーンを導入するべきであり、早くから行動を起こした企業は多大な先行者利益を得られるかもしれません。

パブリックブロックチェーンの問題にはプライバシーがあると述べましたが、全てのデータをパブリックにしなければならない訳ではありません。例えばトレーサビリティのためのIoT&ブロックチェーンソリューションを提供するAmbrosusのシステムでは、企業は全てのデータの公開設定を柔軟に選択可能です。Ambrosusのデータ設定は3種類あり、プライベート(非公開)、セミプライベート(一部の許可した相手にのみ公開)、一般公開(パブリック)です。

つまり、消費者にとって重要な産地や、輸送過程で適切な温度管理が成されたか、アレルギー源が入っていないか(Ambrosusは温度や湿度などの一般的な環境測定だけでなく、DNA、pH、アレルギー、酵素といった内部情報までも検知可能なIoTデバイスを開発しています)などをパブリックに出来る一方で、仕入れ価格や従業員の管理情報といった知られたくない情報は非公開にして管理出来ます。

ブロックチェーンのトレーサビリティへの導入事例と仕組み

日本国内でも既に、ブロックチェーンをトレーサビリティに応用した導入事例は少数ながら存在するようです。ただし情報が非常に少なく、そのほとんどはまだPoC(概念実証)段階であり本格的な導入には至っていないと思われます。

パブリックとプライベートのブロックチェーンの優位点を併せ持つAmbrosusは既に、復数の企業と提携し、食品トレーサビリティへの導入事例を発表しています

この中で、牛肉トレーサビリティについて軽く触れておきます(このトレーサビリティに関する提携の詳細はリンク先ページを御覧ください)。

この提携でAmbrosusは韓国の食品大企業農心の子会社NDSと協力し、スーパーマーケット(メガマート)で販売される牛肉の産地、輸送経路、獣医による健康診断(バクテリアの有無)、輸送中の温度管理といった様々な情報に、消費者が簡単にアクセス出来るようになります。スーパーに訪れた消費者は、スマホで牛肉のパッケージに付いているQRコードを読み取るだけでそういった情報を得ることが出来るということです。

Ambrosusは自社で非常に強力なハードウェアの開発・研究所(イノベーション研究所)を所有しており、Ambrosus独自のブロックチェーン(AMB-NET)にシームレスに繋がるそれらのIoTデバイスは多岐に渡ります。

食品と製薬(医薬品)を主要ターゲットとしているAmbrosusではありますが、具体的に企業名が発表された以外でも提携範囲は非常に幅広くなっているようです。スマートシティ、ブティック、高級品、コモディティ、電子機器、林業と、Ambrosusの提供するブロックチェーンソリューションは、あらゆる産業に適用可能です。

ブロックチェーンのトレーサビリティにAmbrosusを選ぶべき理由

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