食品偽装・トレーサビリティ

牛トレーサビリティ法の問題点とAmbrosusによる食品の安全保証

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牛トレーサビリティ法により耳にタグを付けられた牛

牛トレーサビリティ法とは

あなたは牛トレーサビリティ法(牛トレサ法)というのを聞いたことがあるだろうか。これはBSE(いわゆる狂牛病)問題が契機となり制定された、牛の個体識別番号を一元管理するための法律である。

トレーサビリティとは

ある商品を「生産から消費までの全過程」で特定出来ること。
トレーサビリティとは?食品の事例で見るメリット・デメリット

この制度では、農場で牛の耳に識別番号が表記されたプラカードのようなタグを取り付けることを義務付けている。その番号をデータベースで管理することによって、加工・製造業者からスーパー、レストランまで、最終的に消費者に届くまでの牛の追跡可能性(トレーサビリティ)を実現しようというものだ。

農家や業者に対してデータをきちんと管理することを義務付け、違反した場合に罰則を適用する事によってそれを守るインセンティブを与えている。

牛のデータがきちんと入力・管理され、改ざんされたりしない限り、ある程度の信頼性をもって牛の産地を確認することが出来る。

あまりご存知ない方も多いかもしれないが、実は立ち食いスタイルで人気を博した「いき○りステーキ」といったレストランにおいても、国産の牛を使ったメニューに関しては識別番号を聞けば分かる範囲で教えてくれたりする。

この記事ではこの制度の問題点と、食品安全に関する日本と世界の現状、新しい技術がもたらす今後の食品安全の可能性について述べていく。

また韓国の食品巨人企業である農心と、国連に認められたブロックチェーン・スタートアップ企業Ambrosusの、牛肉トレーサビリティにおける提携、そして日本の牛トレーサビリティ法を比較したい。

Global Food Security Index(グローバル食品安全指標)によれば、世界の食品安全ランキングにおいて日本は18位、韓国は25位である。本記事を読めば、このままでは近い内にそれが逆転してしまうかもしれないことを理解してもらえるだろう。ちなみに1位はシンガポール。以下アイルランド、イギリス、アメリカ、オランダと続く。

トレーサビリティで他社と差別化したい企業の方は

牛トレーサビリティ法の現状と問題点

さて、この牛肉のトレーサビリティシステム。あなたは使ったことがあるだろうか?

ほとんどの方が無いと答えるはずだ。なぜなら、2008年に飛騨牛の偽装が起きた時でさえ、飛騨牛銘柄推進協議会の検索システムにおいて、1ヶ月間で牛の個体識別番号が検索された件数はたったの243件だったからだ。

この243件というのは10年前の数字ではあるが、スーパーで売っている牛肉のパッケージに記載された識別番号を、わざわざ検索サイトに行って手で入力して確かめている人というのは聞いたことが無い。筆者の周りだけなのかもしれないが、少なくともこの検索システムの存在さえ話題にすらなったことがない。

この事が一つの問題を浮かび上がらせる。

それは何かと言うと、この法律とシステムが、我々消費者を中心として作られていないということである。

確かに、全ての牛の耳にタグを付けて個体識別番号を管理し、健康管理などの結果食品としての基準に達しなければ流通しないようにするなど、データを一元管理することである程度のリスクは抑えられるはずだ。

関連業者はデータの不一致、ずさんな管理など問題が発覚すれば罰則を受けるため、それを避けようとして一定の努力はするだろう。

しかしそれは、あくまで問題が発覚してからの後手後手の対応になることが多いはずだ。なぜなら、データにアクセスするのが主に業者であり消費者で無いならば、業者同士での不正やデータの書き換え、業者間におけるパワーバランス等によって当局に問題を報告しないといった事が起こり得るからである。

一貫した管理システムが無いため、レストランなどの店にとって、識別番号の管理自体が煩わしいはずだ。牛肉のパッケージに貼られている識別番号のシールをいちいち管理して、どの料理にどの肉を使ったのか等、客に聞かれたら答えるのも一苦労である。

わざわざ口頭で余計な事を聞いて店側から鬱陶しい客だと思われるのも、我々普通の日本人にとっては気が引けることだろう。こういった点も、一般消費者がトレーサビリティを確認することから遠ざけているように思える。

今までの企業・業者を中心としたシステム、つまり企業がデータベースを管理して、データをいくらでも後から書き換えられるシステムでは、不正や詐欺といった行為を無くすのは難しい。また万が一食中毒を起こしてからでは、産地を確認したところで食べてしまった人にとっては意味がない。

最新のテクノロジーが変える、食品安全の未来

食品サプライチェーンと品質保証を変革する最新技術

とは言え、我々の未来は明るい。なぜなら以下のテクノロジーによって、消費者が確実に保証された食の安全を手に入れることが出来る日が近いからである。

スマートフォンの普及

あなたはこの記事を何で読んでいるだろうか。PCの人もいれば、中にはガラケーで見ているという珍しい人もいるかもしれない。しかし、ほとんどの人がiPhoneやAndroidといったスマホで読んでいるはずだ。

このスマホの普及というのは食品の安全にとっても非常に重要だ。なぜなら、カメラで商品パッケージに付いたQRコードをスキャンするだけで、その商品の原材料や産地、輸送経路、輸送時の温度や湿度などの管理情報にさえアクセス出来るようになるからである。

これは後ほど詳しく説明するが、Ambrosusというスイスのブロックチェーン・IoTスタートアップが可能にする(既にしている)、消費者にとって前代未聞の夢のような事だ。

ガラケーでは文字を読むのは出来ても、素早く画面を移動して必要な情報を瞬時に手に入れるのは難しいはず。といっても私は10年くらいガラケーに触れてさえいないので、最新の機種の使い心地は分からないが。ただスマホのように気軽にネットの情報にアクセス出来ないのは確実だろう。

さらに数年後は現在の4GLTE通信から、5Gの世界が訪れる。通信速度はさらに何倍にもなり、前述の商品情報など一瞬で表示されるようになるに違いない。

またスマートコンタクトレンズなるものも各社が開発している。Google Glassは流行らなかったが、AR(拡張現実)の開発・発展によってさらに生活は便利になっていくだろう。いちいちポケットやカバンからスマホを取り出してQRコードをスキャンしなくても、まばたきの仕方等でコンタクトレンズが自動で商品情報をスキャンして、直接網膜上に映像や情報を映す事も可能だそうだ。網膜上に直接映すので、失明者でも映像を見ることが出来るらしい。

スマートコンタクトレンズの実用化にはまだ時間がかかりそうではあるが、こういったスマホや5G等の技術進歩がさらに進むことで、より快適に消費者が求める情報にアクセス出来るようになる。

ブロックチェーン

ビットコインや仮想通貨と聞くと、まだそんなこと言ってるの?と思う人も多いかもしれない。2018年の死に相場でブームは去っただろうと。しかしまだそんなこと言うのである。

ビットコインを代表とする仮想通貨の相場など、一般消費者の食の安全にとっては何の関係もない。どうでも良いことだ。

しかしその仕組みを支えるブロックチェーンは見過ごせない。なぜならブロックチェーンによって、事実上改ざん不可能なデータの管理が実現出来るからだ。

これは、今までの企業を中心としたデータ管理とは全く異なる、革命的な技術だ。広く一般の人がみんなでブロックチェーンというデータベースを保管、管理することによって、本来は中央にいたはずの管理者を排除する。

この仕組みによって、中央管理者がデータを不正に書き換えたり削除したりすることが出来なくなる。なぜ一般人がブロックチェーンを管理しようとするかと言えば、その報酬として仮想通貨が貰えるからだ。

ビットコインを発明したサトシ・ナカモトという人物(または組織)は、この報酬のメカニズムを非常に上手く設計した。そのネットワークにおいては、不正をしたり嘘のデータを書き込む事は全く割に合わないか、何の意味もないのである。正しい行い(データの管理)をすることが、ビットコインという報酬を貰って得をするための最善の行動なのだ。

この仕組みに近いものは、先程述べたAmbrosusにも採用されている。本来仮想通貨とは投機のための道具などではなく、データを分散的に保管、管理するために必要な報酬メカニズムを支える、中央管理者排除のために不可欠なものなのだ。

ちなみにAmbrosusのブロックチェーン・ネットワークであるAMB-NETでは、ビットコインのように膨大な計算量、つまりマシンパワーを必要としない。そのため電力の浪費による環境への影響は無い。

このブロックチェーンの仕組みによって、データの管理が中央集権的な企業や政府による管理から、我々一般人が参加するネットワーク全体による管理にシフトする。

スマホを使って便利で簡単に必要な情報にアクセス出来ることと、ブロックチェーンによるデータの信頼性の担保によって、ようやく消費者中心の、消費者のためのトレーサビリティが実現する

インダストリー4.0

インダストリー4.0とは、ドイツ政府が提唱する製造業のスマート化プロジェクトである。要は第四次産業革命のことだ。

IoT(モノのインターネット)、人工知能、機械学習、3Dプリントといった最新技術によって、生産の効率性から生産する商品の種類まで、あらゆる事が変わっていく。

IoTはモノとインターネットを繋げる技術のことだが、分かりやすいのはインターネットに接続された冷蔵庫だろう。センサーで中にある野菜の量や消費期限を管理したり、普段の消費ペースが続けば卵が明日には無くなると判断した場合、GPSによって家主がスーパーの近くを通った時に通知してくれたりする。

このIoTセンサーによる自動のデータ送受信が、先程の食品の品質保証にも使われる。例えばシビアな温度管理が必要な食品・薬品などは、定期的に温度センサーの計測値をブロックチェーン・ネットワークに送信することで、輸送時の管理状態が適切に行われている事を証明できる

Ambrosusが開発しているスマートパッケージは、開封された事を検知することが出来る。不正に商品の中身を低品質なものに入れ替えたり、オリーブオイルやハチミツを薄めたりすることを防ぐことが出来る。

さらに、Ambrosusは史上初めて、商品内部の状態までも検知出来るIoTセンサーを開発し、食品や薬品のトレーサビリティに適用しようとしている。つまり、温度や湿度、圧力、衝撃といった商品外部の状態に加えて、原料の成分、DNA、酵素といった商品内部の情報までもを検知可能になるのである。これにより、あらゆるモノがインターネットにつながった未来のスマートシティにおいて、水質(ヒ素の検出等)、空気の質、資源の浪費といった事まで検出し、都市の状態を管理することが出来るようになる。

いくらブロックチェーンが改ざん不可能といっても、入力されるデータ(商品の産地や管理状態など)自体が間違っていれば意味がない。セキュリティが保証された、安全なIoTセンサー等のインダストリー4.0技術と組み合わせてこそ、ブロックチェーンによるトレーサビリティ管理は真価を発揮するのだ。

世界におけるトレーサビリティの動向

EUが食品トレーサビリティへの規制を強化

EUが2019年末よりトレーサビリティ規制を強化

EUでも、当然ながら牛のトレーサビリティに関しての規制が存在する。こちらの資料によると、最初に制度が制定されたのは1997年。しかし当時は牛の個体を識別する体制が整っていなかったことや、義務付けられた表示項目が多かったために実施の目処が立たなかった。

その後、表示項目を義務表示と自発的表示の2つに分け、義務表示を簡易化することによって2000年から実施することとなった。

日本での牛トレーサビリティ法と同様、個体識別番号付きのプラスチックタグのようなものを牛の耳に付けて管理する。その個体識別番号を使って農場から消費者までの牛、牛肉の移動を記録していく点は日本と変わらない。

牛を飼育する農場や牛肉の解体工場、加工工場といった、流通経路におけるそれぞれの許可番号と国の表示も義務付けている。

こういったトレーサビリティに関する規制が設けられているにも関わらず、食品の偽装や不正、詐欺は後を絶たない

EUで起きた食品偽装として有名なものの1つとしては、2013に発覚した牛肉への馬肉混入問題がある。

こちらの記事にもある通り欧州委員会が発表した検査の結果によると、EUで流通している4000以上の牛肉製品を対象に調査を行ったところ、その4.55%にあたる193製品から馬のDNAが検出された。

さらに人体に害を及ぼす可能性のある馬用の鎮痛剤フェニルブタゾンに関する検査でも、全体の0.51%にその混入が確認されている。

こうした事件がきっかけとなり、EU圏の人々から食品の産地、流通経路、品質といった情報を求める声が非常に強くなっている。

こうした一般消費者からの求めに応じて、EUでは既にトレーサビリティ規制をどんどん強める方向に動いている。

実際、2019年12月から実施されるEUの新たなトレーサビリティ規制によって、製造者や小売業者は食品、飼料(エサ)、動物のトレーサビリティと信頼性のあるデータを、EU当局の要求に応じて提出することが必要になる

国連に認められた持続可能な未来のためのプロジェクトであるAmbrosusは、規制当局とも積極的に議論して、連携を深めている。

例えば2018年11月27日に欧州議会において開かれる「Blockchain for Europe Summit」にAmbrosusのCEO、Angel Versetti(エンジェル・ベルセティ)が登壇し、Ambrosusのようなブロックチェーン・ソリューションが、どのようにしてEU域内の輸出入に対して使えるか(特に商品の品質、安全性、産地に関して)を説明する。このサミットに関して詳しくはこちら

Ambrosusは前述の農心との牛肉トレーサビリティにおける提携の他にも、詐欺や不正が最も多い産業の1つであるハチミツ(マヌカハニー)関連企業、H!VE Honeyとも提携している(HiVEじゃなくてH!VEである)。ちなみにhiveは英語でミツバチの巣、ミツバチの群れといった意味で、転じて人々が賑やかに活動する場所や群衆といった意味もある。この産業ではオリーブオイル同様、品質の低いハチミツと中身を入れ替えたり、薄めたりという行為が横行しているのだ。

EUの法律によれば、EU内にある500の農業食品行政区域のうち、5つがある特定の基準を品質のテストのために取り入れると、この基準はその後、ヨーロッパ中で認められた食品品質基準になり得る。

このAmbrosusとH!VE Honeyが進めているヨーロッパでのハチミツ・イニシアチブは、既に4つの州が関わっているそうだ。あと1つの地域が参加すれば、ヨーロッパ全体での品質基準として採用されるかもしれない。

このように、EUにおいてはAmbrosusを筆頭に、着実に新たなトレーサビリティの基準作り、基盤整備が行われている。

そのほかにもAmbrosusはマダガスカル産ブルボンバニラ、粉末食品、ホームベーカリー関連の企業などとも提携を発表していて、我々一般の消費者が普段スーパーで購入する多くの食品のトレーサビリティに革命を起こそうとしている

韓国でAmbrosusが実現する牛肉トレーサビリティと日本の比較

消費者の元に届いた牛肉

さて、牛肉のトレーサビリティに話を戻そう。当然牛だけでなくあらゆる食品のトレーサビリティが保証されるのが望ましいが、とりあえず日本の牛肉トレーサビリティと韓国で可能になる牛肉トレーサビリティの比較をすることで、今後の食品トレーサビリティの明るい未来に思いを馳せたい。

日本の牛肉トレーサビリティの現状は冒頭で述べた通りだ。他の多くの国と同様、残念ながら消費者を中心としたシステムにはなっていない。これは消費者が個体識別番号をほとんど検索していない事からも明らかであるし、そもそも企業が管理するデータを信用出来ないのであれば、手間をかけて確認しようという意欲も湧きづらいだろう。

データ管理に不備があれば罰則はあるものの、企業が管理するデータベースは書き換えが可能であり、利害関係者同士の結託による不正を防ぐには不十分と言える。低品質なものを生産する企業がバレないように不正をすることで得をする状況というのは、現状世界の多くのサプライチェーンにおいて成立している。これでは本当に良質な商品(もちろん牛肉を含めて)を生産、流通している企業が相対的に損をしてしまう

また基盤となるITシステムも日本独自の牛の管理のみに特化したものであり、他の産業、食品、他国のシステムと統合した運用が全く出来ない。

否定的な事ばかり書いているが、日本の牛トレーサビリティ法が制定された本来の目的だけ見れば、充分な成果を上げていると言えるだろう。その目的とはBSE(狂牛病)感染の蔓延を防ぐ事だが、感染牛肉が消費者の元にまで届いてしまった事例は今のところ確認されていないからだ。ちなみに2015年の厚生労働省による資料によると、国内ではこれまでに36頭がBSE感染牛として確認されていて、最後に確認されたのは2008年らしい。

しかしながらそもそもBSEのリスクの程度というのは、日本、アメリカ、韓国。オーストラリアを含む多くの国において、国際獣疫事務局(World Organization for Animal Health)によって「Negligible」(取るに足らない)としてカテゴリーされている。一覧はこちら

では日本において、牛を含む食品のトレーサビリティが向かうべき道はどこだろうか。それは世界の流れと同じ、消費者を中心とした情報提供・管理だろう。

EUにおけるトレーサビリティ関連規制が今後さらに厳しくなっていくのは前述の通り。これは消費者が求める食の安全を実現するためだ。

この消費者中心のトレーサビリティ・ソリューションとして現在世界の最先端にいるのが、韓国の農心の子会社NDSと牛肉トレーサビリティで提携したAmbrosusなのである。

この提携によって、韓国のスーパー「Mega Mart」で販売されるプレミアム牛肉についての色々な情報を、消費者が自由に得ることが出来るようになる。

具体的には、牛肉のパッケージに付いているQRコードを消費者がスマホで読み取ることで、牛肉の産地、どの牛の個体から生産されたのか、獣医による健康チェック(サルモネラ菌に感染しているか等)、サプライチェーン上の輸送経路、輸送時の温度管理といった情報に、簡単にアクセス出来る

日本でトレーサビリティについて話す時、それは「流通経路の特定が出来ること」という意味で使われることがほとんどだろう。

Ambrosusが提供可能にするのは、単に流通経路や産地といった情報だけに限らない。この牛肉の例で言えば、獣医による健康診断情報や温度管理が適切になされていたかまで知ることが出来るのだ。

Ambrosusによるトレーサビリティ・ソリューションは、あらゆる産業に対して適用可能だ。牛肉、ハチミツ、バニラ以外の食品はもちろん、薬品も主要なターゲットとしている。その他のコモディティ、電子機器といったどんな産業にも適用できるという事は、あらゆる産業の情報が一つのエコシステム(AMB-NET)で統合され、完結するという事だ。日本の牛トレーサビリティのようなガラパゴスなITシステムとは異なり、あらゆる産業において一貫したデータ形式や管理方法が実現する

牛肉の温度管理といった情報は、輸送時にもIoTセンサーによってAmbrosusネットワーク(AMB-NET)に自動送信される。このセンサー開発技術が、Ambrosusが持つ最大の強みの一つである。

食品化学、センサー開発等で20年以上の経験を持ち、世界最大の食品会社ネスレでも研究プロジェクトを率いてきたステファン・メイヤー博士(Dr. Stefan Meyer)が、Ambrosusが自社で保有するIoTセンサー研究所(イノベーションラボ)のリーダーを努めている。

この研究所が開発してきた様々なセンサーは既に特許を所得済みであり、現在特許申請中のものも多くある。Ambrosusのセンサー開発における最新記事はこちら目に見えないスマートインクをパッケージに印刷する事によって偽造されていないことを証明出来るなど、最先端の技術開発が行われている。

偽造防止を保証するスマートボックス
偽造防止を保証するAmbrosusのスマートボックス

最先端のIoTセンサーとブロックチェーンを最適に組み合わせる事によって、消費者を第一に考えたエコシステムが実現するのだ。

Ambrosusは、バーコードの規格で世界で最も普及しているGS1とも完全互換を実現している。前時代的な1次元バーコードとは異なり、QRコードでおなじみの2次元バーコードでは多くの情報を表せるようになっている。

今までの1次元バーコードは、それだけでは単に商品の識別番号のみを表しているにすぎない場合が多い。その番号を使ってさらにインターネットや別のデータベース内を検索して、やっと欲しかった商品情報が得られる事がほとんどだ。

日本の牛トレーサビリティの現状においてもそうだが、消費者が得たい情報を気軽に素早く得られるといった環境は、少なくとも日本ではほとんど実現していない

少し前にIoT企業のEVRYTHNGが、製造業者や小売業者がGS1規格を使って大規模に商品をインターネットにつなげるためのツールを開発した(リンク先は英語記事)。このEVRYTHNGは、実はAmbrosusのCPO(最高製品責任者)で、IoTのWeb標準版であるWoT(Web of Things)の祖である、ブラッド・トリファ博士(Dr. Vlad Trifa)が共同設立した企業である。

こうした状況から、消費者が商品情報にアクセスする機会は今後ますます増えていくだろう。それに伴い、産地や品質といった偽装されていない情報を求める声はどんどん強くなっていくのは間違いない。それに対応出来る企業が、他社の商品と差別化した素晴らしい商品を消費者に提供出来ることになる

まとめ・日本のトレーサビリティが進むべき方向

長々と書いてきたが、簡潔に言いたいことをまとめたい。

世界は確実に消費者向けのトレーサビリティの実現に向けて動き出している。悪質業者や詐欺師が介入する余地のない、正直で透明なサプライチェーンの実現は目前にせまっている

日本でもブロックチェーンやIoTの研究・開発は進んでいるだろうが、まだまだ実用化の段階ではない場合が多いだろう。しかしながらAmbrosusのように、既にそれらの技術をビジネスに応用して成果を出している企業も存在することは知っておくべきだ。

日本のトレーサビリティに関する規制作りも世界に倣い、偽装や不正の起こらない仕組みを作っていくことが望まれる。

良質な製品を生産している企業や農家にとっても、新しいソリューションに目を向けることで、他製品との差別化、管理費用や保険料の削減、リコール時における問題発生地点や時点の特定の迅速化といった、大きな利益を得ることが可能になる

一人の消費者として、安全と品質が保証された食品を選んで買えるようになる日が早く訪れて欲しいと思っている。

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