食品偽装・トレーサビリティ

ポーランド製薬産業の大問題、リバースサプライチェーンとは

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製薬業界を蝕むリバースサプライチェーン問題

※本記事はポーランドのAmbrosusコミュニティメンバー、stokarzの記事を翻訳したものです(リンクは記事の最後)。

最近、糖尿病や高血圧症のような慢性疾患用の専門薬を求めたことはありますか?あなた自身や身内の人生を大きく左右するような薬です。それは地方の薬局では手に入りませんでした。更には、都会の中心にあり、ネットワークのある大きな薬局にすら無かったのです。何時間もイライラしながら探した後、それを手に入れることは完全に不可能だと判明します。でも少し待ってください。おかしくないですか?医者から処方箋を貰ったのですから、適切な薬の入手は保証されているべきでしょう。ガソリンスタンドでインスリンを買うわけがありません。一体何が起こっているのでしょうか?

この状況は冗談のように聞こえるかもしれませんが、残念ながらポーランドのMain Pharmaceutical Inspectorate のデータによると現実のものであり、多くのポーランド人の家族は悪夢のような日々を送っています。この状況が変わる見通しは全くありません。

国家規模の医薬品詐欺

この問題の起源はどこにあるのでしょうか?この品不足はポーランドの国民健康基金の受け身な姿勢のせいで起こったのでしょうか?もしかしたら、強力な製薬会社が西ヨーロッパ市場で儲けを増やそうとして陰謀を企てているのかもしれません。しかし、この推測は事実とまるでかけ離れています。

より豊かな消費者が「西」にいるという認識と、何かしらの企てがあることは事実ですが、それは巨大企業ではなく、地方の実業家や薬局、卸売業のオーナーたちによるものなのです。リバース・サプライチェーンと呼ばれる、管理機関が医薬品を非合法的に流通させる犯罪ネットワークが構築されているのです。

インスリンのような特定薬剤を生産している工場は、販売店契約にサインをして各国に適切な量を送っています。ポーランドの卸売業者は、患者の平均需要を予め計算した上で相当量を受け取ります。この数字は、需要が急増しても対応できるよう、40%ほど多く見積もられています。

理論上は、倉庫から出荷された医薬品は国中の薬局に運ばれ、薬を求める患者の手元に届きます。しかし、現実にはそうなっておらず、ポーランドの薬局で専門薬を入手することは徐々に難しくなってきています。何故でしょうか?その理由は、患者ではなく薬局が医薬品を卸売業者に再販売し、そこからドイツ、フランス、スイスのような西側諸国に輸出しているからなのです。そして、医薬品は数倍も高い値段で再販売されています。

この価格差はどこから来ているのでしょうか?ポーランドの専門薬は、その市場に合わせて、そして国民健康基金の払い戻しも相まって、大抵は安めに設定されています。不正を行う薬局や卸売業者は、この価格差を利用して劇的に利益を増やすために、医薬品を流通させては海外に再販売しているのです。

ポーランドの薬局から消える重要な医薬品

慢性疾患、高血圧、糖尿病、心疾患、および癌のような病状向けの非常に専門的かつ独自の医薬品への入手経路が制限されることほど深刻なことはありません。アレルギー持ちの子供たち用のワクチンや製品ですら、ポーランドから非合法的に輸出されているのです。

2017年~2018年の1年間だけでも、総額4,000万ユーロ以上に相当する医薬品が違法に輸出され、それに関わったとされる医療機関は6,500もありました。2012年から現在までのこの不正輸出の総規模額は5億ユーロに上ると推計されています。

このリバース・サプライチェーンを止めようと多くの試みがなされてきましたが、未だに適切な解決策は見つからないままです。Main Pharmaceutical Inspectorateの推計では、ポーランドの薬局から1,000種類もの専門薬(インスリンなど)が行方不明になっているとのことです。忘れないでください。我々は何十万人ものポーランド人が日常的に生活し呼吸をするための医薬品について話しているのです。

流通チェーンの構造

従来のサプライチェーン

製造業者卸売業者薬局患者

リバース・サプライチェーン

製造業者卸売業者薬局卸売業者西側諸国への輸出

有害な収益追求

2012年に償還法が改正され、全ての薬価は保健省と製造業者の交渉で決まると定められました。この解決策は極めて論理的で優れたものであり、統計上のポーランド人が必要とする慢性疾患用の医薬品を安く購入することが可能になりました。それによって、同じ医薬品でも西側諸国に比べて価格が低く、時には70%も安いことがあるという状況になりました。しかし、市場の影の側面から、詐欺集団による非合法ネットワークが、リバース・サプライチェーンと呼ばれる活動を通じて、より儲かる市場に医薬品を送るようになってしまいました。

一体そこからどれほどの利益を得ることができるのでしょうか?医薬品の違法輸出に関わったと証明された小さな薬局ネットワークは、2014年時点で、一年半で合計300万ユーロ相当の製品を販売したとのことです。

製造業者にとっての大きな問題

医薬品の紛失に悩んでいるのはポーランドの患者だけではありません。リバース・サプライチェーンは製造業者にとっても大きな問題であり、医薬品の生産に不安をもたらしています。本来製品が渡るべき国において詳細が不明であるため、対象地域への医薬品生産が不十分であり、契約を守っていないと政府が見なして告訴することがあるのです。また、西ヨーロッパにおいて、地方自治体との合意で定められた価格よりも低い価格で購入されていることも製造業者にとっての悩みです。リバース・サプライチェーンは、製薬業界の小さな経済や社会的均衡をも破壊してしまうのです。

これによって直接取引は病的な状態に追い込まれてしまいます。必要とする患者のために専門薬を注文したい薬局は、製造業者と直接やりとりをしなければなりません。このプロセスは、医薬品の現実の需要を確認し検証するために膨大な医療文書の提出を要するため、非常に無駄が多く時間のかかるものです。

しかもこれが常に上手くいくとも限りません。それは一般的信頼が無く、製造業者が疑い深くなってしまっているからです。このような混乱や、統制の強化に対する必要性は、市場の独占に繋がります。もし薬局が医薬品を直接発注することに失敗した場合、ポーランド最大の倉庫のどれかから入手するしかなくなるのです。数百もの薬局があるという事実にも関わらず、製造業者は主に大手3社、すなわちFarmacolNeuca、およびPGFに医薬品を供給しています。薬局はそれらのうち1社と協力関係になることを強制され、このようにして国家規模で危うく不公平な独占ができあがっているのです。.

ブロックチェーンによるサプライチェーンの統制

Main Pharmaceutical Inspectorate が暗示するように、当局や監督官庁にとってこの現象を統制したり対抗したりするのは極めて難しいことです。複数の政府機関での動員や協力体制が必要とされますが、不誠実な実業家たちがこの活動をより多角的にするためにあらゆる努力をするという事実を考慮すると、やはり措置を講じることは難しいでしょう。

ブロックチェーンと呼ばれる新たな技術的ソリューションはこの問題への答えになり得ます。一度保存されたデータを侵害することを不可能にする、不可侵のレジスタです。このケースに当てはめると、輸出される医薬品は、工場から出荷された瞬間から患者が購入するまでの製品の履歴の全てを、ブロックチェーン・システム上に設計されたシンプルで直観的なアプリを用いて確認することが可能になるのです。

Ambrosusが解決する製薬業界のリバースサプライチェーン問題

具体的な解決策

例として、スイスに拠点を置くAmbrosus(アンブロサス)の分散型ネットワークである、AMB-NET上に設計できるエンドツーエンド・ソリューションを用います。

Ambrosusはこの問題に対して包括的なソリューションを提供します。AMB-NETを基本的なプラットフォームとして使用し、ブロックチェーンの特性を活かして一度入力されたデータの耐久性と不変性を確実なものにします。工場で製造された医薬品は特別なマークの付いたコンテナに保管され、予定外の開封を不可能にします。また、そうすることで温度(リバース・サプライチェーンのプロセスにおける不適切な保存環境は、最も深刻な問題の1つだとMPIに見なされています)、光への曝露、GPSやその他の重要な要因を測定することが可能になります。

複雑な流通チェーンの各段階において、倉庫や薬局は一般的なバーコードスキャナーを用いて包装上のコードをスキャンし、AMB-NETにデータを送ります。たった数個の手順で豊富な医薬品輸送履歴が手に入り、しかもいかなる薬局も卸売業者も、製造業者自身でさえも、データを改ざんすることはできないのです。最終的に、医薬品のコンテナは薬局に届けられ、患者はそれらが適切な製造業者から来たものか、リバース・サプライチェーンに乗ったものでないかを確認することができます。

仮に医薬品が詐欺集団や監督官庁、または「西」のバイヤーによって海外に送られた場合でも、それらが信頼できる筋から来たものかどうか、そして高値で売るために非合法的に国から持ち出されたものでないかを容易に確認することができます。

このようなツールを導入すること自体が、サプライチェーン全体のデータを公開することであり、薬局オーナーの誠実さを保証することになるのです。

結論

結論として、Ambrosusが提案するソリューションは、ポーランドのリバース・サプライチェーン問題の抑制に大きく貢献するでしょう。AMB-NETシステムは、政府と企業の両方が大規模かつ即座に実施するための用意ができています。国家が製薬業界のスタンダードとして、そして薬局と倉庫から患者までの経路の信頼性および整合性を保証するシステムとして利用することができるのです。最も、薬局を経営する実業家たちは、流通チェーン自体を最適化するためにAMB-NETを活用するかもしれませんが。

ブロックチェーン技術は全ての問題に対する答えではありませんが、このケースにおいては、その構造や、一度入力されたデータの不変性、そして分散性、公開性という特徴が完璧な組み合わせとなり、リバース・サプライチェーンという非合法プロセスを解決する試みになります。

ブロックチェーンはあらゆる問題を解決する完璧なソリューションではないかもしれませんが、ポーランドの当局や民間薬局に、リバース・サプライチェーンに対処する長期的な希望をもたらします。

元記事:Reverse Supply Chain Problem Can blockchain be a solution?

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