食品偽装・トレーサビリティ

トレーサビリティとは?食品の事例で見るメリット・デメリット

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iPhoneのアプリでトレーサビリティ管理

最近よく聞く「トレーサビリティ」とは一体なんでしょうか?本記事では野菜の例で分かりやすく、トレーサビリティの意味や、消費者と事業者側それぞれにおけるメリット・デメリットを説明していきます。

トレーサビリティの意味

トレーサビリティとは英語のtraceabilityのことで、trace(追跡)とability(能力)を足して作られた言葉です。直訳すれば「追跡可能性」ということになります。

農産物におけるトレーサビリティの書籍『実践 農産物トレーサビリティ - 流通システムの「安心」の作り方』によるトレーサビリティの定義は以下です。

ある商品を生産から消費までの全過程で特定出来ること

トレーサビリティを一言で表すとこのようになります。

商品が上流(生産地、農場など)から下流(消費者、小売店)まで移動していく流れや、各過程において起こった出来事を全て追跡・特定出来る状態を表します。

トレーサビリティの範囲

トレーサビリティを一言で言うならば「ある商品を生産から消費までの全過程で特定出来ること」であると述べましたが、注目すべきはこの中の「全過程」と「特定」という言葉です。前者はトレーサビリティの範囲に、後者は仕組みやシステムに関わっています。

(農産物における)トレーサビリティの範囲は、同著によると以下のようになっています。

原料 → 生産 → 収穫 → 出荷 → 保管 → 小分け・加工 → 店 → 売り場 → 食卓

商品の特定に必要なもの - 「記録」と「履歴」

商品がどこから来てどこで販売されたのか、またどのように生産されたのかを「特定」するためには、産地や流通経路、販売店などの各地点において、いつ、どこで、誰が、どうやって、何をしたのかが「記録」され、いつでも確認出来る「履歴」として残っていなければいけません。

農産物で言えば、産地では何の種をまき、どのような肥料をやり、どの農薬をどれくらいの濃度で使用したのか等を記録する必要があるでしょう。また収穫された野菜はJAなどの出荷団体に集荷されていきますが、出荷団体自身も情報を記録する必要があります。何という生産者から何をどのくらいの量集荷したのか、どの集荷場でどのような温度管理のもとで保管したのか、いつどのトラックに乗せて出荷したのか等の情報になるでしょう。

そうして出荷された野菜は一つ、または複数の流通業者を経てスーパー等の小売店に並び、消費者に買われていきます。それら全ての過程が履歴として記録される必要があるのです。

下流(消費者)から上流(産地)にさかのぼって情報履歴を確認することを「トレースバック」といい、逆に上流から下流に向かって情報を確認することを「トレースフォワード」といいます。

トレースバック

例えばある消費者が、スーパーで買ったカボチャがどこの産地で採れたのかを確認したいとします。商品によってはカボチャにID番号付きのシールが貼られていて、「このサイトでIDを入力して検索してください」などと書かれていることがあります。実際にスマートフォンやPCでそのサイトを開きIDを入力すると、生産者の顔写真と共に何月何日に収穫されたかといった栽培履歴や農薬の使用回数などが画面に出てきました。

これがトレースバックです。IDが付いていない商品の場合でも、売られているスーパーに問い合わせて確認する人も多いでしょう(ちなみにスーパー側からすると、情報確認のために取引先や農家等に電話をかけたりしなければならず、対応のために相当なコストがかかっています)。

トレースフォワード

トレースバックとは逆の流れになります。ある果物農家が使用していた農薬が、新たに制定された法律によって使用禁止になっているものだと判明しました。果物を集荷した出荷団体は、その果物がどのルートを通って青果店やスーパーなどの小売店に卸されていったかを確認し、回収しなくてはいけません。上流から下流に向かって情報を追っていくのがトレースフォワードです。

トレーサビリティはなぜ必要か

トレーサビリティが実現していることで、食中毒などの問題が起こった際に原因の特定をすることが可能になります。つまり責任の所在を明確にすることがトレーサビリティの1つの意義です。

消費者からしても、直接自分の体に入れる食品や薬などの安全性を確認出来ることはとても重要です。

生産者、業者側にとってはトレーサビリティの実現、システムの変更は大変ですが、法律で決まっている部分に関しては守らなければなりません。つまり義務的な側面もあるのです。

トレーサビリティに関する法律

  • 牛トレーサビリティ法
  • 米トレーサビリティ法

トレーサビリティに関する代表的な法律にはこういったものがあります。それ以外でも、使用する農薬の種類や濃度、保管方法などといった事に法律や条例が関わってきます。

トレーサビリティのメリット:消費者側

さて、トレーサビリティが実現していることのメリットについて見ていきましょう。

これを考えるとき、大きく分けて2つの立場があります。消費者と生産者(業者)です。

安心が得られる

まずは消費者にとってのメリットですが、多くの人にとって一番大きいのは商品に対しての信用度が増し、安心を得られることでしょう。どこで生産されたのか分からない、残留農薬が基準値を上回っているかもしれない、何か起きたときに責任の所在が分からない食品を安心して消費することは出来ません。

商品について詳しい情報が得られる

これは安心が得られる事にもつながっていますが、購入する商品の成分やアレルギー物質を確認出来る場合もあります。また商品によってはWebサイトで具体的な食べ頃まで教えてくれるかもしれません。

トレーサビリティのデメリット:消費者側

消費者にとって、トレーサビリティが得られるデメリットはほとんどありません。しいて言うとすれば、商品の価格が高くなることがあるといったことでしょう。とは言っても、きちんとトレーサビリティを実現していて安心出来る商品を少しだけお金を多くだして買うのか、安さ重視で買うのかは消費者の自由です。また必ずしも価格に転嫁されているとも限りませんので、消費者にとってのデメリットはほとんど無いと言って差し支えないでしょう。

トレーサビリティのメリット:生産者(業者)側

トレーサビリティによって生産者・流通業者・加工・卸売業者・小売業者にもたらされるメリットは数多くあります。

業務の効率化・改善

例えば野菜農家の場合、野菜を収穫するまでに行った全ての重要な行動を記録しておくことによって、育つ野菜の品質と土壌の状態、使用した肥料、農薬の関係が見えてくるでしょう。消費者や取引先に対して見せるための記録というだけでなく、その記録を振り返ってより高品質な農産物を作ることが出来るかもしれません。

JAなどの集荷業者にとっても、きちんと集荷先の農家が記録を付けていることによって各農家の状態を把握でき、新たな商品の提案や取引先の拡大につながることもあるでしょう。

ブランドの向上

いわゆる他社製品との差別化です。無農薬・無化学肥料で育てた野菜、一定の基準を満たした有機野菜などを消費者にアピールするためには、適切な記録の管理が必要になるでしょう。それらの記録は有機野菜としての認定を受けるためにも使われるでしょうし、消費者が直接情報にアクセスできるようなシステムがあればそこでも大きなアピールが可能になります。

消費者はトレーサビリティについての情報を得られる透明で安全な商品に対しては、少しばかり値段が高くても構わないという考えを持っていることが多いです。良いものを適切な価格で多く販売出来ることは、販売側にとって非常に大きなメリットです。

問題発生時の原因特定

食中毒などが起こった際、原因発生地点の特定にはトレーサビリティが必要です。食中毒を起こした消費者がどこで商品を買ったのか、その販売店はどこからいつどの程度の量の商品を入荷したのか、といったように、正確な情報が記録されていなければ何も分かりません。

仮にトレーサビリティ情報が記録されたいたとしても、いまだに書類による記録、管理が主流です。書類に書かれた記録をデータベースに入力したりもしますが、全ての関係者がそうという訳ではありません。そのため原因究明には莫大な労力、費用、時間がかかります。

こういったリコールや問題発生時の原因特定に、ブロックチェーンという技術が注目されています。ブロックチェーンはビットコインに代表される新たな技術ですが、トレーサビリティへの応用がすでに始まっています。

世界最大のスーパーマーケット・チェーンであるウォルマートによれば、通常のシステムでは6日間に加え18時間26分かかったマンゴーの産地までの情報追跡(トレースバック)が、ブロックチェーンを使用したシステムではたったの2秒にまで短縮出来たそうです。

法令遵守の証明

トレーサビリティを法律で規定したものとしては、牛トレーサビリティ法や米トレーサビリティ法があります。牛と米について、各関係者がどのようにトレーサビリティを実現しなければならないかを定めたものです。

もちろんこれら以外にも守らなければならない法律、決まりはたくさんあります。例えば使用禁止の農薬であったり、使用可能なものでも濃度や散布回数、頻度などが定められているからです。

残留農薬の検査に関しても、検査結果をきちんと管理して、消費者でも見られるようにすれば誠実な生産者と思ってもらえるでしょう。認証機関から受けた認定に関しても同様です。

こういった決まりを守っていることの証明として、記録を残しておくことは非常に重要になります。それが消費者や取引先への信頼につながり、生産者にとっても大きなメリットになるのです。

トレーサビリティのデメリット:生産者(業者)側

業者側のデメリットとしては、主に導入に関する費用、手間、学習コストといった事になるでしょう。

特に大変なのが一番最初です。農家の例で言えば、どこまでの情報を記録するのか、どうやって記録するのか、システム導入にいくらかかるのか等悩むことがたくさんあるでしょう。

多くの場合、既に何らかの(書類に手書きで記録するだけの場合も含めて)トレーサビリティシステムを導入しているでしょう。その場合は、新しいトレーサビリティシステムを導入する際に同じく悩むことがたくさんあります。

今からトレーサビリティを導入するなら

今からトレーサビリティシステムを導入するなら、ブロックチェーンを利用したシステムが望ましいと言えます。理由の1つは先程述べたように、リコールや問題が起きた際の原因特定にかかる時間が圧倒的に短く、効率的だからです。さらに、ブロックチェーンの中でも事業者側がデータを改ざん不可能なパブリック・ブロックチェーンであれば、消費者から多大なる信頼を得ることが出来ます

パブリック・ブロックチェーンでは保存されたトレーサビリティ・データに誰でもアクセス可能です。しかしながら、Ambrosusのシステムではあらゆるデータを公開保存しなければならないということはもちろんありません。消費者などの外部の人たちがアクセス可能であることによって、自分にもメリットがあるデータのみを公開すれば良いのです。例えば収穫日、温度管理情報、輸送過程などです。それ以外のデータ、例えば企業秘密の栽培方法に関わる情報(肥料の調合比率や使用のタイミング等)は公開しない状態で保存することも可能です。また、一部の人たち(契約先、配送企業など)にのみ公開する事も可能です。

ブロックチェーンのトレーサビリティにAmbrosusを選ぶべき理由

もちろん予算や期待される費用対効果など、条件によって判断が異なってくるでしょう。ですがAmbrosusのトレーサビリティ・システムであれば、最先端のパブリック・ブロックチェーンシステムを利用可能にも関わらず、非常に安くシステム構築が可能です。

その理由の1つは、システム構築の際の選択肢の柔軟性です。例えばマイクロソフトのWordなど、そのIT企業が独自に開発し、外部には一切開発の中身を公開しないものがあります。これをプロプライエタリ・ソフトウェアと言います。

一方、開発コードを誰でも閲覧可能にすることによって、外部の人たちが拡張機能や独自の機能を追加したりして、自由に利用可能なソフトウェアもあります。これをオープンソース・ソフトウェアと言います。

Ambrosusのシステムの中で、生産者側、事業者側が利用するシステム(ヘルメス・マスターノード)はオープンソースのため、利用する事業者の予算や規模によって、システム開発の委託先が自由に選べるのです。IBMのブロックチェーン・システムを利用するとなればこうはいきません。非常に高い費用(教材などの初期費用、毎月の利用料など)を支払わなければならず、一度自分のシステムに組み入れてしまえば、問題やトラブルが起こる度に高い費用を支払って専属の担当者に来てもらわなければならないでしょう。

逆にAmbrosusではオープンソースのシステムが利用可能なため、あらゆるIT企業が委託先になり得ます。自社が比較的大規模な会社であれば、自前の技術チームにシステムを開発させることも可能でしょう。

これは他のブロックチェーンによるトレーサビリティシステムには現状無い大きなメリットです。

まとめると、Ambrosusのブロックチェーンシステム(AMB-NET)をトレーサビリティに利用する代表的なメリットは以下の通りです。

  1. パブリック・ブロックチェーンのためデータの改ざんが出来ず、消費者に確かな品質とブランドをアピール出来る
  2. オープンソースのためシステム開発の選択肢が豊富。他社に比べて非常に安価にトレーサビリティを改善出来る

最先端のトレーサビリティ・システムを安価に構築し、消費者に自分の商品をアピールしたい方は、取引先などとご相談の上、いつでもお問い合わせを受け付けております。元々Ambrosusはスイスのプロジェクトであり公式のお問い合わせ先は英語のみになりますが、当サイト(非公式の日本語サイト)でもお問い合わせを受け付けております。Ambrosus公式に質問を転送したり、ワークショップ(体験講座)の申し込みを連絡することも可能です。

まずはお気軽に、当サイトにお問い合わせをしてみてください。いつでもお待ちしております。

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